こん〇〇は!
昨今話題となっているデジタルトランスフォーメーション(DX)、今後DXが進んでいくと、私たちクルマ好きのカーライフはどうなっていくのか気になるところです。
そもそも「DXってなに?」という方もいらっしゃると思います。
出典:https://www.meti.go.jp/policy/digital_transformation/index.html
そこで今回は、DXのざっくりした概念の説明、我々にもたらす変化、そして、DXの浸透が我々クルマ好きにどんな影響を与えるのかを…適当に考えてみたいと思います。
[目次]
■DXってなに?
DXとは「進化し続けるICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」社会現象で、スウェーデン:ウメオ大学の”Eric Stolterman”教授によって提唱されたそうです。
総務省からも政策白書としてDXについて触れられていましたのでご紹介します。
例えば、製造業が製品(モノ)から収集したデータを活用した新たなサービスを展開したり、自動化技術を活用した異業種との連携や異業種への進出をしたり、シェアリングサービスが普及して、モノを所有する社会から必要な時だけ利用する社会へ移行し、産業構造そのものが大きく変化していくことが予想される。
大げさに言うと…
これまで人類は発明や技術革新が起きるたびに色んな利益を享受してきましたが、「DXにより劇的な社会・産業構造の変革が進行している」ということなのです。
■DXがもたらす変化
・デジタルカメラの出現
よく言われるDXによってもたらされる変化に”モノからコトへ”というのがあります。
カメラがDXによってどのように変わっていったのかが分かりやすい例なのでご紹介します
・フィルムカメラがデジタルカメラに代わる
・写真がデータ化され、現像する必要がなくなる
・フィルムがなくなったことによる写真一枚当たりの撮影単価の激減、写真データの再利用が簡単になる
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・写真の送受信が簡単になる
・ネットワークを通して写真が手軽に遠隔地に送れるようになる
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・写真データをつかったサービスが生まれる
・SNSを中心に写真をオンラインで共有する仕組みが作られ、そこにサービスやビジネスの仕組みが構築される
カメラが「写真を撮る」モノから、「全世界の人に自分が体験した」コトを共有するためのツールに変化した…ということです。
・サービスを売る
他にモノからコトを売る面白い事例に、ロールスロイス社の飛行機用エンジンの「Power by the Hour」というサービスがあります。
航空会社にエンジンを売るのではなく、使用時間あたりで使用したエンジンの仕事量によって、利用者である航空会社に利用料を請求するサービスです。
エンジンにセンサーを取り付けICTで管理することで、エンジンがどれだけの仕事量をユーザに提供できたのかを正確に把握できるようになったため可能になったサービスと言えるでしょう。
これは、エンジンを使った分だけの費用が発生するという”サブスクリプション方式の様なサービス”を購入する形態と言えると思います。
航空会社にとっては、エンジン購入の初期投資や整備費用を抑えられることがメリットであり、ロールスロイス社にとっては長期的かつ額の大きいストックビジネスを獲得できることがメリットになります。
このように、メーカーがモノ(製品)を製造しそれを売るのではなく、製品を通じたサービスを提供するビジネスのことをサービス化(Servitization)と呼んでいます。
これからの世の中は、製品のメンテナンスなどの「アフターサービス」を売るのではなく、サービスの機能そのものを売る形に変わっていくServitizationの時代に着々と進んでいるのです。
■DXによるサービス化(Servitization)と価値観の変化
DXの浸透により、社会的な価値感が変わってくることが想定されます。
今後、サービスそのものはより顧客と提供者のインタラクション(相互作用)に基づき、サービスが変化していきます。
また、サービス化の際にも、社会、マーケット、ルール、技術などのレイヤーの異なる価値が変化していく事にも注目する必要があります。
DXがもたらす価値観のキモは(色々な資源の)共有だと思います。
・提供者は保持している資源(コンピュータ)の稼働率を上げることが出来る
・利用者は必要な時に必要な資源を借りることが出来る
いつしか、ICTの世界(クラウド)ではこれが普通になってしまいました。
次にご紹介する移動体(Mobility)の分野でもサービス化を実現するにより「車両などの稼働率を上げ、利用者は必要な時だけそれらを使う」という仕組みが「普通」である世の中になっていくでしょう。
・フィンランドのMaaS事例
ICTサービスには、ちょっと前からSaaSやらIaaSやら色んな”〇〇 as Service”というサービスがあります。一般的には実態のコンピュータは利用者に見えず、必要なサービスだけが提供されるいわゆる”クラウド”と言われているサービスです。
近年、移動に対するクラウドの概念であるMaaS(Mobility as a Service)という言葉が語られることが多くなりました。
国土交通省でも注目の言葉になってきているようです。
http://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/69_1.pdf
どんな概念なのか、超抜粋して説明しますと…
・ICTを活用して交通をクラウド化し、公共交通か否かなどその手段を超える
・すべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえシームレスに繋ぐ
このような新たな「移動」の概念のことです。
ちょっと分かりにくいので、実際にMaaSを実現しているフィンランドの「Whim」というサービスをご紹介します。
纏めると、既にこんなサービスを実現できているとのこと。
・どこかに移動する際、乗換案内アプリなどで出発から目的地、手段を自動検索できる
・予約から決済まで一括して行うことができる
・利用できる交通機関は、電車・バスといった公共交通機関に加え、タクシー、バイクシェアなど
・スマホアプリを提示するだけで交通手段を利用できる
日本的に言えば、乗り換え案内で目的地を入力すると、必要な交通手段(電車以外も提示される)が確認・予約でき、決済までできちゃう…というサービスです。
日本でも検討が進んでいるようですが、ぜひ実現してほしい素晴らしいサービスだと思います。海外から日本に来てくださる方にも、分かりにくい日本の決済システムから解放されますので喜ばれるのではないでしょうか?
オリンピックまでに間に合えばよかったのに。。。これこそ本当の「おもてなし」でしょう…
・DXがもたらすMaaS社会の到来
フィンランドでは交通手段によるランキングがなされており、下記の様になっています。
①歩行者
②自転車
③軌道系交通(路面電車、鉄道)
④道路上の交通(バス、タクシー)
⑤その他の商用車両(トラックなど)
⑥自家用車
自家用車は最下位。
環境負荷の低減に向けた交通機関の最適化に向けた取り組みでもあり、一部の国では自家用車の所有が推奨されない世の中が始まっているのです。
また、世界では電動キックボードのシェアリング試験が始まってるそうです。
キックボードにはGPSがついており、どこで乗り捨ててもOK。
これにより公共交通機関+キックボードで出発地から目的地まで行けるような未来がきたら、自家用車の価値が今と全然違うものになるのかもしれません。
勿論、安全面の対策や法整備など課題は沢山あると思いますが、徒歩ではちょっと遠いところまでの移動にコレを使えたらさぞ便利な事でしょう。
郊外や田舎の隅にまでMaaSが提供される未来が本当に来るのか?は甚だ疑問ではありますが、この大きな流れはもう止まるものではないのだと思います。
■DXによるクルマ社会の変化
行きつくところは「自家用車を持たなくてもよい未来」に向かいます。
AIや自動運転の進歩により、行きたいところに自家用車じゃなくても行ける行き届いたMaaSが誕生したら、急速に自家用車を不要とする世の中が訪れるでしょう。
フィンランドではすでに始まってる通り、いつか日本でも自家用車を持たないことを奨励される未来がやってきます。
お店の駐車場もMaaSサービスの車両駐留所になってしまい、自家用車の駐車範囲が狭くなるとか、場所によっては自家用車駐車禁止の区域もできちゃったりとか、マイカー移動では肩身の狭い思いをする未来もあるかもしれません。
MaaS全盛になる未来、自動車メーカーはMaaSのパーツとなる移動体としてのクルマを開発することがメインとなるでしょう。
裕福層向けには所有欲を満たしてくれる素晴らしいクルマを開発するかもしれませんが、一般人向けのクルマ開発・提供なんて殆ど無くなるかと。
そう考えると…現在様々な問題を抱える自動車関連の税金や各種料金ですが、中長期的にはクルマに掛かってくる諸々のお金が安くなることはあり得ないと思います。
クルマの維持費、税金、維持費、道路通行料などが2050年には2019年のx倍だった…みたいなことすらあり得そうです。
■まとめ
DXはビジネスモデルと顧客への価値提供の方法を根本的に変えてしまう概念です。私たちみたいなクルマ好きにとっては、DXによってもたらされるクルマに対する世の中の変化(自家用車は買わないのが普通、買うのは良いことではない…的な価値観)に寂しさを感じる日がくるのでしょう。
DXによって社会の変革が加速します。
かつて誰もが持っていたフィルムカメラの時代に二度と戻ることがないように、MaaS化が加速していく交通サービスも昔のように戻ることはないでしょう。
技術によってライフスタイルの変革がもたらされ社会が変化したり、ライフスタイルの変化が新しい技術を欲しがったりと、相互に作用しながらスパイラル的に変わっていくのがDX時代のTransition(遷移)だそうです。
興味のある方はコチラをどうぞ。
DX時代の思考法として、とある勉強会で下記の名言を教えていただきました。
・我々の直面する重要な問題は、その問題を作ったときと同じ考えのレベルで解決することはできない(アインシュタイン)
「今までの価値感や論理に従うままでは新しい時代に対応できませんよ」という素晴らしい格言なのですが…
頭の固い私は『マイカー最高!!』とい価値観や、『クルマ大好きだぜ』をやめられそうもありません。。。(;'∀')
幸いなことに、当面はクルマ好きでも何の問題もないので、DXによってもたらされるであろう様々な革新的”〇〇 as Service”の出現を楽しみにしたいと思います。
とりとめもなく長文になってしまい失礼しました。
最後まで読んでくださった方、どうもありがとうございました。m(_ _)m
ということで、今日はこの辺で。(^^)/